小樽の女(ひと)

鰊御殿(青山別邸)

 「逢いたい気持がままならず、北国の街は冷たく遠い。木枯らし舞い散る小樽の駅でーーー」と歌われた小樽市を先週産業市民委員会の視察で訪問しました。人口13万9千人の都市、札幌から快速で30分余りのベットタウン的な街にとなりましたが、以前は鰊(にしん)や金融で栄えた街でした。現在は700万人以上の観光客が押し寄せる北海道でも札幌に次ぐ観光都市とのことですが、観光客の凄さとは裏腹に平成12年には15万にあった人口が僅か7年で1万1千人も減少し、再開発された小樽築港地域への人口増も上手くいっていないとの説明でした。
 観光客の滞在時間も旭山動物園が人気を博している影響で以前よりも短くなったとのことで、観光客数の増加も大切だが滞在時間、日数の増加に力点をおいた観光政策を進めているとのことでした。

 現在、観光での売り上げは小樽市の総売上の3割、従業員数も3割を占める第一の基幹産業とのことですが、中央資本の店も多いようで、観光客が来なくなったら直ぐに撤退してしまうのではないかと思いました。確かに観光業は売り上げ、雇用に及ぼす影響は大ですが、それを維持していくためには日頃の精進・努力が不可欠であり本当に難儀い産業であると思います。以前黒川村の村長が言われておられた「毎年ひとつずつ新しい物・光を作っていかなければお客さんは来なくなる。その新しい物・光を創造しそして借金をして作り、それ相当の客が来るか否かは大きな賭である。」このような新たな物を作り出す観光は、バブル期には成功しましたが、現在ではリスクも大きくそして長続きしないかと思います。
 無理をしない、これまで培ってきた物にちょっと付加価値をつけ見せる観光が現代にあった望ましいものではないかと思います。
 観光客数や売上高に踊らせられない地に着いた観光振興をしなければと考えさせられた視察でした。