内橋克人講演会 3

 内橋さんから「これまでの公について」の話がありました。
 「これまでの公は、生産条件の整備を目的、中心に働いてきたが、これからの公は、生存基盤を目的に働くべきである。」
 道路整備に関して言及すれば、これまでは流通や生産のための道路の高速化を目指してきたが、これからの道路整備は、人間を中心とした道づくりをするべきである。ヨーロッパで進められている『歩行者有線の道路』歩行者と、自転車そして自動車がきちんと分かれた道路の建設要望がこれから増えてくるであると予測され、加えてそれらの仕事が今後の土木の公の仕事となりうるのではないか。
 これまでは『生産条件が良くなれば、生存条件も比例して良くなってきたが、これからの時代は、生産条件が良くなると逆に生存条件が悪くなる』状況が現れている。
 例えば、日本は食料の6割強を輸入に頼っている。日本には現在も多くの耕作放棄地が存在しており、その放棄地は土地条件が悪いという理由でら放棄されているというよりも、採算性、効率性、生産性に合わないので耕作されていない土地が殆どである。海外では農家自らが食べる物を差置いて日本人が食べる食料を生産しており、そのことが多くの水、地力を収奪しているという事実を理解しなければならない。
 つまり、日本人の生産条件の追求(自ら作らず他所から持ってきた方は安い)をすることが、海外の農家、農村の生存基盤を脅かすと同時に、日本の農家、農村の生存基盤も脅かし、加えて、山が荒れ農地が荒れることで、災害が多発する心配が増大し都市住民の生存基盤が脅かされている。
 人間らしく、そして人間として幸せに生活できる生存基盤の拡充が今後の公の目指すべき仕事であると。^^^

 小生も全く同感である。道路整備に関して云えば、これまでは、早く目的地に着くことを目的とした道路整備が中心であったが、そのことが交通事故を多発させ、近年は少なくなったとはいえ、今も年間6千人もの尊い命が失われている。また、交通事故で死ぬのは感覚的に『只、残念であった』と片付けられるような気がして、「交通事故撲滅など!と訴えるような行動が起きないのも違和感を感ぜずにはられない。
 やはりこれからは、人間の命を守りう安全で安心して歩くことが出来る道路整備を行うべきであると思う。都市住民は、都市部は整備が終わったような意識をもっている国民も多いように思うが、安全安心からみた場合の道路整備は全く遅れている。
 これからの道路整備のあり方を『命を守る』という観点から見直さなければならないと思う。