農業の活性化とは

 昨晩、地元の約3ヘクタールの農地(水田)のほ場整備を県、市の補助金をもらって行うための「ほ場整備協議会」の設立総会が開催された。土地所有者及び耕作者等の関係者は総数で16名という小さな協議会だが、3年後の完成を目指して、協議会会則、役員、事業・工事の概要、今年度の活動計画、予算等について話し合われ提案された議案は全て可決された。
 今月は、小作料の改定(案)が農業委員会の諮問機関である「小作料審議委員会」から提案された。ほ場整備がなされていない平場の10?:1反区画の場合は、小作料がこれまでの2万円から1万2千円に減額された。ほ場整備が行われた概ね30?区画の田んぼであれば、それは2万3千円となっているが、何れも昨今の米価低迷の中での大きな値下げとなっている。
 通常地主は、毎年、田んぼに対する固定資産税、用水利用に対する水利費:土地改良区への賦課金、そして地元農家組合の組合費等を支払わなければならないし、以前に用水路や暗渠排水の改良工事等を実施場合は、それに対する工事費償還金等も上乗せとなる。
 人に耕作を委託し、「小作料」として1万2千円もらい、それで以上の経費を負担すると赤字になってしまう場合も少なくない。田んぼという資産を持っているだけで、毎年経費を持ち出さねければ時代になった。もし耕作しないで放置していれば、何かと世間の目が厳しいから、足が出ても耕作して貰うよう大きな農家にお願いする。一方大きな農家は、大きな機械が入らないような効率の悪い田んぼは引き受けたくないというのが本音で、地主と耕作者との折り合いが付かなければ「耕作放棄地」となり、草茫々の田んぼがどんどん増えてしまうのが現状である。
 このような中、ほ場整備事業の実施が急務であるが、その事業実施に関しても当然地元負担があり、地主はそれなりの負担をしなければならず、農業外収入で得た利益をその経費に充てる。つまり、現在は土地改良を行うか?或いは耕作を放棄するか?の2者択一となる。しかし、ほ場整備を実施する場合は、他の人とに事業実施に関しての合意形成が必要となるので、1人でどうこう出来るわけではないので、ほ場整備が実施できることは、現実としては大変珍しい例のようにも思われる。
 農林水産大臣は先般の「WTO交渉」決裂で、国際構想力を備えた日本農業を目指して、更なる農業改革を謳っているが「現場はこれ以上どうすることも出来ないという現状」を果たして理解しているのか?と大きな疑問を感じる昨今である。