NHKスペシャルを見て

 昨晩NHKスペシャル「見過ごされた被爆」を見て、これまで国:厚生労働省がとってきた被爆者への対応の杜撰(ずさん)さに唖然とした。
 番組の内容は、原爆投下後13日目に入市(広島の爆心地で医療活動をした)し、残留放射線被爆し、直接放射線で被曝した被爆者とほぼ同じような症状が発症して来た79歳の老女が、どうにか「死ぬる」までに「原爆症」と認めて欲しいとの訴えの内容であった。
また、何故彼女を「原爆症患者」として認めなかという背景「アメリカの被爆に関する研究やそれを元に結論を出した厚生労働省の見解等も報道され、また、それらの判断がおかしいと、1人の老医師が残留放射線被爆した方々の症状を懸命に調査し、残留放射線被曝の実態を解明していく様子」も報道された。
この番組を見て強く感じたのは、これまで厚生労働者(以前は厚生省)は、何故この1人の老医師の様な行動が取れなかったのか?只アメリカの被爆研究を元に結論を下して来たのかに大きな疑問が残る。
インタビューで登場したアメリカの研究者は薄笑いを浮かべながら、自らが下した結論は当時に於いては間違ってはいなかったような回答、厚生省の担当者も当時の状況での判断は間違っていなかったような回答をしていた。
しかし、被爆地は日本の広島・長崎であり、被爆当事者もそこに居るのに、アメリカの研究調査のみ?を重要な判断基準にとした「厚生労働省の対応・結論」は一体何なのか?と思わずにはいられなかった。
現場があるならば現場をつぶさに検分することが大切だが、日本の行政、昨今の行政、そして政治も含め、現場を見ず、マスコミの報道等ばかりを基に、机の上や○○会議のみで重要な物事を判断することが多過ぎないか?
行政担当者自らが下した政策や施策が現場ではどのように作用しているのか?不都合や不平等は無いのか?等の検証がきちんとされているのかが大きな問題である。
行政担当者の現場を見ずして判断することで、取り返しのつかない「過ち」を犯し、その「過ち」は、その任を降りれば「お構い無し」の状況では、正に公務員とは一体何なのか?と思うこともしばしばである。
行政には第一に「公平性」が求められるので、確かに個々に対応することは大変であるが、個は全体の1つである。個々の対応をしっかりすれば全体は揺るがない。しかし個々の対応を疎かにしてしまったことが、現在の様々な問題、例を挙げれば厚生労働者が抱えている「年金問題」「薬害エイズ問題」「肝炎問題」等を引き起こしているのではないかと思う。
霞ヶ関で働く国のエリート行政職の方々はじめ全ての公務員はもっと現場に足を運びそして市民の声を聞き、それを政策形成、行政判断の基準とすべきであることを再認識すると同時に、私も含めた政治家も「現場第一主義」をモットーに活動しなければならないと思った。
蛇足:きっとこの放送で、今後、この老女の思いは成就されるのではないかと期待したい。