地域活性化策講演会

hiroshikaro2010-06-28

 先日、我が議会会派である「しんし新政クラブ」が主催者となって、財団法人地域活性化センター 理事長 石田直裕氏を招いて、市議会議員と長岡市役所の部課長総勢60名を越える参加者による講演会を開催しました。地域活性に積極的に取り組んでおられるだけあって大変示唆に富む内容でしたので、要点を箇条書きにしました。

平成20年度、日本からの輸出はアメリカが第1位であったが、平成21年度は中国となった。
アメリカへの輸出は自動車、機械に偏っていた。
現在、中国もアメリカの経済も回復してきているので、輸出も元に戻り、徐々に明るい方向へ移行しつつある。
いずれにしても、これからの日本経済の活性化のためには、これまでの輸出に頼るだけでなく、技術の向上を含む、革新(イノベーション)が必要である。
そのためには、研究開発への投資が必要である。
同時に高等教育(高校、大学)の強化が必要で、今の日本の高等教育は金が掛り過ぎるので、高等教育の無償化等を進めなければならない。

●我が国の将来 2050年
人口減少現在よりも30%も人口が減少する予測
保険、年金 いわゆる皆で支えるものが破綻してしまう。
2050年のGDP予想は、1位アメリカ、2位中国、3位インド 4位ブラジル
で日本は順位では落ち込んでしまうが、地理的条件ではヨーロッパよりも優位に立つ。

● 人口構成
若年層がどんどん減少する。
団塊の世代がリタイヤし、NPO参加者が増える。
団塊の世代は金を沢山持っている。
また、30歳から40歳の独身女性も金を沢山持っている。
観光や商品販売の狙い世代は、60前後の退職者、30〜40歳のキャリアウーマンだ!
現在、都心回帰の傾向で、東京圏のみで人口の集中がみられる。
2030年になると東京は地方よりも老齢化率が高くなる。
地方にいる方が子どもは育て易く、間もなく地方の時代が到来する?

●所得の格差
日本の地域間格差は世界に比べれば激しくない、
地域内での格差の方が問題である。
ジニ係数(所得格差を表す係数)は、地域社会の安定:税、社会保障で再分配によりこの係数は下がる。
格差は年ごとに拡大してきている。
所得税は累進度をより高めるべきか?
格差の原因について、日本人は努力や選択で決まると考える人が多い。
所得の少ない人は努力が足りない、選択が間違っていると考える。
男性の非正規職員数のが年々増加してきているため、職業訓練を受ける機会が少なく、技術をもった職員がどんどん減少している。非正規職員の増加は良くない

●家族形態
ひとり暮らし、夫婦のみ(特に高齢者)の世帯がどんどん増加している。
同一家族内での助け合いが出来なくなってきている。
共稼ぎの世帯数も増加傾向にあり、子どもの養育を誰が担うのかが、今大きな問題だ?
世帯における外食、調理食品への支出が増加し、電子レンジの多用により、電気料金が上昇。

携帯電話普及で電話通信料の高騰、月4,000円から10,000円も通信料に掛けており、車の売れ行きに影響を与えている。
月賦に回る費用が電話量に回わっているのでは?
また、車の売れ行きが悪くなったのは、若年世代の車離れ?
車の利用が減ったことで、スキー客が激減している。
ピーク時は1800万人ものスキー人口が現在は3分の1の600万人に激減した。

●電子取引
電子商取引の増加し、インターネットで物を買う傾向が強まる。
通信で物を買う総額は8兆円規模となり:コンビニ・百貨店の売り上げよりも多くなった。
信販売での人気商品は、重いもので、酒、米等で、宅配の普及が大きく寄与している。

●環境がこれからトレンド
現在世界中では72億炭素トンもの排出量があるが、地球の吸収量は約半分しかない。
今後、森林の多い所は得をする。森林を使って炭素商売ができる。
また、大都会の会社は森林があるところとトレードするようになる。

●地方経済
財政依存:公共事業 国からの予算誘致
加工業の伸びと総生産の伸び、建設業の伸びと総生産の伸びは比例している。
これまで建設業の繁栄は賃金格差の解消に寄与していた。
企業誘致:景気の後退を反映して地方の企業誘致は非常に難しい。
製造業は安い原料、労働力を使って生産するようになり、生産拠点が中国・インドにシフトしている。
ひとつの企業が来れば、関連企業も付いてくる。
地方から全世界に展開できる企業の誘致が必要。
内視鏡オリンパスはシェア―7割(福島)

内需と貿易
現在、日本の内需と輸出の比率は86:14でまだまだ内需が大きなウエイトを占めている。ヨーロッパ諸国や韓国、中国などは輸出が30%以上占めているのが普通なので、もっと輸出に力を入れるべきであり、日本スタンダードではなく、国際スタンダードを作り上げれば、より日本経済は活性化する。
日本の企業の弱いのは1億3千万人を市場としてはいけない。日本市場に安住すべきではない。ようやく日本の携帯がインド中国を市場にし始めた。



●国際化の遅れ
日本の若い者が海外旅行に行かなくなった。気概がない。日本はおいしいものがあり、安全である。危険や冒険を冒してまでも海外へ行く意欲がない。

●日本農業の振興
農林水産業の振興
これまで昭和ひとけたが農業を引っ張ってきた。
2010年問題 76歳以上の農業者が本格的にリタイヤし、継続の危機を迎えている。
自給率が著しく低い。ご飯を食べなくなった代わりに、畜産物の摂取が多くなった。
食糧の輸入がとだえる日本人はと米と芋の食生活になる。

●日本の食品産業
10兆円の農産物産業(生産、加工)、消費額は73兆円なので、つまり60兆円近くが、流通や輸入品等に費やされている。
60兆円の1割を地元(地方)に落とせば、16兆円の産業となる。
地元農産物だけを使っている農家レストランは現在全国に830店
直売所13000件で総売り上げは5000億円
売り上げ位置の道の駅は、新潟県新井の道の駅
西日本の農家レストランはバイキング カレー
東日本の農家レストランは そば
現場、地元で金を落とす。

中心市街地の活性化
にぎわいが必要。
イタリアのように夜ひとがぞろぞろ歩いて食事をする。買い物サービス。
地元で金を使うことの大切さ
町の顔の確立 地域文化のアイデンテイテイ
売店食事ができる場所を確保するひつようがある。

●観光
人が来て金を落とす。
一人当たり、年間121万円も観光で消費する。
日帰り観光ではなかなか金は落ちない
宿泊客は22人で住民一人を賄える経済効果がある。
外国人宿泊客は7人で住民一人。
国民一人当たりの国内観光客の年間宿泊旅行泊数は、2.77泊で低迷
国内観光市場は23.5兆円 
宿泊は団体旅行から個人旅行へシフト
1995年はJTBが世界一の売り上げを達成した。それを境に団体観光が減少。
生活体験 非日常から異日常型、そしてテーマ性の強い観光へ変化した。
外国人観光客は、韓国、台湾、中国、香港 近隣アジアで60%を占める。
中国人は金を落とす。韓国は九州へ行くが余り金を使わない。
日本のものは安全安心ウソつかない、信頼。信用がある。親切である正直だ!うそつかない。
訪日外国人を800万人から3000万人に
韓国。中国:ショッピング
アメリカ:生活を知りたい。相撲はいいが歌舞伎は寝る。我慢できない、待てない、直ぐにやりたい。野球を7回、短くする。子どもの時に親と一緒に野球に行った思い出が、根強い野球人気。子どもの頃のノスタルジア
新潟県は宿泊者数が多く、食べ物が美味しい。
醤油物が懐かしくなる。醤油は癖になる。寿司、ラーメン、水が美味しく安全だ、

●愛郷教育が必要
親がこの町は良いところといえば子どもは故郷に帰ってくる。人が集まる拠点を作れば、まちの顔になるし、子どもたちはそこへ行き、いずれは戻って来る。
人が集まるにぎわいの場所を作る。
「近きもの喜びて、遠きもの亦来る。」
以上