公共事業と農家

hiroshikaro2007-09-21

 先般、地元の公民館で河川改修に関工事の説明会が開催されました。約30名の地元関係者が集まり、県からの工事概要の説明と用地の提供に関してのお願いがありました。
 参加者の殆どが農地所有者あるいは耕作者の方々で、来年度の作付けを心配されておりました。既に玉葱の苗の植え付けを始めた方もおられ、工事が来年度早々(4月頃)から始まるということになると、6月の玉葱収穫は難しいとのことで不満も出されました。
 また、自ら耕さずに他の方に耕作して貰っいる田畑も多く、そのような場合2年間も工事で耕作できない時の地主、耕作者に対しての補償はどうなるのか?との心配も出されました。
 農地は農地法という法律できちんと守られていますが、考え方を変えると、如何に地主であっても自由に売買・貸し借りが出来ないとう厄介な代物でもあります。しかし、国、県、市などが行う公共事業の実施の場合は、その農地法の適用を受けないとの特例もあり、役所はその点を余り考えないで事業を進める帰来がありますが、現実耕作している農家の方々にとっては、これまで肥やしを沢山いれて作り上げた「べと:土」が工事によって何処へ行ってしまうのか?という大きな不安もあるようでした。
 如何に公共事業、多くの市民の為の事業とはいえ、今回の工事、そして説明会は、地元農家にとっては「降って沸いたような話であった」という印象は否めず、ざわついた中で説明会は終了しました。そのような農民感情、農村感情を良く理解した上で丁寧かつ時間的余裕をもった説明としなければ、折角の公共事業もスムーズに進まないような印象を持ちました。
 公務員、そして私たち政治家も、公共の福祉という名の下に「多少の犠牲は当然である。ちょっと位我慢しろ!」と云う頭から、関係者に対して、不十分かつ急な事業説明をしてしまう事が多く、初めにボタンの掛け違いが生じててしまうケースがあり、結局、公共事業反対だという悪者を作ってしまい頓挫している事業は少なくありませんし、私たちもそのことで大変苦労しています。
 役所内での調整も大切ですが、まずは、土地を提供して貰ったり工事で色々な迷惑を掛ける地元の方々の事業実施に関わる合意形成が第一かと実感させられる説明会でした。