食糧自給について考える2

 皆さん昨日のNHKスペシャルをご覧になりましたか?
国の言うような個人・家族経営ではなく集落営農を目指し経営の合理化そして大規模化を図るために、土地改良事業の実施や大型農業機械の購入に投資し、期待していた形になったと思いきや、近年の著しいばかりの米価下落で、農協はじめ金融機関から投資した金回収出来ないばかりか返済できなくなり農協からの支援が打ち切られるという悲惨な現状が報告されていました。大規模であればあるほど米価下落の影響は大きく、二進も三進も行かなくないという状況です。
 無責任な評論家やニュース番組のキャスターで「日本の農家は恵まれ過ぎて、怠けているから価格戦争に負けてしまうのだ!」という人がいますが、それなら「同じ土俵に載っけて相撲を取らせてもらいたいと思います。」
 日本は世界で一番物価の高い国、ガソリン代、土地代、税金、機械代そして人件費もアメリカやタイ中国と同じレベルにしてもらえれば、生産コストの競争は可能かと思いますが、ガソリンですらアメリカの4倍近くの価格、土地代も水代も人件費も比較にならない程高い日本に於いて、果たして国際競争力をもった農業経営が農家の自助努力や集団化で実現出来るか否かは容易に理解できるはずかと思います。
このような簡単なことを財政諮問会議の委員を務める東京大学の教授が、一流大学を卒業した農林水産省のエリート官僚が、そして国会議員が分からない訳はないはずです。ならば一体何を考えているのか?とぼけているしか考えられないかと思います。
農家が潰れてしまえば農林水産省も、県の農林、農地部局も、そして市の農林部局も要らなくなってしまい、最終的には公務員・行政マン自身が自らの首を絞めることになることを理解しているのか?なければ、居場所がなくなれば天下り先が用意されているから心配ないのか?是非聞いてみたいと思います。
 このように、日本でも規模拡大し合理化を図れば国際競争力が備わる等という絵空事を言異、そして今もなお言い続けて、ついには、日本農業を潰してしまう状況に陥れた農林水産省、そして国会議員の責任は、今後きちんと問われるべきであると同時に、東京の役人や国会議員の言うことを聞いてきた農家も反省しなければならないと思います。
 番組でも担い手の高齢化、そして後継者不足がテーマになっていました。「儲からないから農業後継者が育たないのだ!」確かに最大の理由です。しかし、現状は優秀な若者が農業に参入したいと言っても、今の農地法では「農家でなければ農地を借りたり、買ったりすることが出来ない」非農家で農業に意欲を持った若者:所謂新規参入者を「農地法」という農地を守る法律が拒み続けているとこを、まず役所も国会議員もきちんと認識しなければなりません。
つまり農地を守る法律が若き後継者の参入を阻害し、仕舞には日本農業を潰すことになる法律であるということを農林水産省は気付いて居ないのか?或いは気付いていても何もしないのか分かりませんが、このままで居れば取り返しのつかない状況になってしまします。
 10年前迄ヨーロッパで飛び回りドイツ、デンマーク、スイス、オランダの農業を見聞しましたが、EU、世界に於いて、デンマークの農業政策はトップクラスであると思います。
一定の農業の勉強をして試験に合格すれば、非農家でも農地を買うことが出来る資格:「グリーンカード」がもらえます。一方、如何に農家の息子、後継者といえども農業の勉強をしなければ「グリーンカード」はもらえず、6ha以上の農地の購入は認められません。※ヨーロッパで活躍している日本人の友人から現在は6haではなく30haになったとの指摘がありました。
 農業農村に新しき血を入ることは今の日本農業に於いては急務です。株式会社を参入させるよりも先ずは「農業の勉強をして実習を積んだ優秀な若者の参入が先」かと思いますが、現状は全くちぐはぐです
 農業をきちんと勉強したやる気のある優秀な人材が活躍できる内容に農地法を改正し、自由な人材の流入が図られることが大切です。農地法の改正を国が言わないのであれば、一番身近な農業委員会から上げていく必要があると思います。