被災者支援法改正について

 今朝の新聞に「被災者生活再建支援法改正案」を巡る与党と民主との協議が始まったと書かれていた。
 改正の主な内容は、

  1. 年収制限の撤廃
  2. 支給額を300万円から500万円に増額すること
  3. 支給対象世帯を半壊までに広げるかどうか
  4. これらの改正を今年1月まで遡及(そきゅう)し、能登沖地震中越沖地震まで対象にすること等が上げられている。

 確かにこれらの改正が決定すれば、被災された方々にとっては朗報であり、また今後の被災者支援を考えた場合歓迎すべき改正案だと思うが、一方、震災当時はこれらの支援法の摘要を受けるため現場では色々な問題が生じた。

 まずは、支給対象世帯とするために、当初半壊と認定されたが、後で自らハンマーで故意に壊し、大規模半壊にしたということを自慢げに言う被災者がいた。金のためなら何でもするという全くもってあきれた行為である。
 ある知り合いの資産家は「どうにか家(うち)の判定を半壊にしてもらえないか?半壊で判定してもらえれば義援金の額が全然違う。両隣は半壊で真ん中の家(うち)ばかりが一部損壊との判定で妻が憤慨しているのでお願いできないか?」との依頼をしてきた。本来であれば自宅の被害が少なかったことを喜ぶべきなのに、支援金や義援金のことを考えると全く逆の発想で、より被害を大きく判定して欲しいという考えだ。

 以上のようなことを考えると、地震に強い建物に住むよりも、命の危険がない程度の地震に弱い家に住んでいた方が良いという考え方になってしまうのではないかと思う。実際、柏崎での中越沖地震では、3年前の中越地震の教訓を生かせず、耐震補強をしなかった古い家が倒壊し10数名の高齢者が亡くなっている。
 耐震性のある家に改造させ、倒壊による人的被害を出来る限り抑えるのが政治の役目なのに、そのことを助長せずに、結果に対して支援するのはどうかと思う。このようなことを言うと被災され現在生活することに難渋されておられる被災者の方々から「何いってんだ!」文句が出るかと思うが、やはり被災してしまってその復旧費に金を掛けることよりも、減災や予防に力点をおき、人命を守ることに公金を投入することの方が大切であるかと思うがーーー

 民主党参議院選挙で大勝し支援法の見直しを!というのは分からないわけではないが、支援金の支給を巡る人間の醜い欲を見た自分としては、まずは「自己責任」をきちんと国民に理解させ、その上で支援をすべきかと思うが、今のように自己責任を明確にしないまま、ただ被災した世帯に金をばらまくのは反対である。
 例えば、耐震性についての規定が無かった建築基準法で建てられた昭和56年以前の建物については、きちんと耐震強化を施したものについては、支援金を支給するが、そうでないものについては、支給しないというような規定も作ってみてはいかがかと思うが、そのようなことについては残念ながら検討されているのか否か?