一般質問

 本日本会議で「長岡独自の農村政策と地域振興策」について質問しました。質問内容を掲載しましたので、ご一読いただきご意見いただけましたら幸甚に存じます。
 なお、録画は市議会のホームページをご覧下さい。http://gikaivideo.city.nagaoka.niigata.jp/nagaokacongress/vod_top.asp
 録画中継、19年度 12月議会招集日の項をクリックして下さい!
 
 初めに、森市長、3期目の当選おめでとうございます。2期目は合併や予期せぬ災害復旧等で思っておられた仕事がなかなか出来ず「3期目は夢の実現を!」ということで、149項目に亘るマニフェスト掲げられての当選、是非、それらの公約を実現されますことご期待申し上げると同時に応援させて頂きます。
 また、森市長は、現在新潟県及び北信越市長会の会長、全国市長会の副会長として活躍され、これからの4年間が一番仕事の出来る時期だと思います。是非、長岡独自の政策について積極的に取り組み、地方都市長岡から中央に政策提言頂き、地方と中央との格差是正のため、地方の代表として、リーダーシップをとっていただくことを大いにご期待申し上げております。
 今回の選挙で合併地域をくまなく廻られ、様々な要望や心配事を聞きになられたことと思います。新長岡建設のため、それらのことも市政運営に生かして頂くことを重ねてお願いし、通告に従い「長岡独自の農村政策と地域振興策」について質問いたします。
 長岡市は一昨年4月と昨年1月、2度に亘り合併し、多くの中山間地域を抱える市となりました。
それらの地域は、長岡地域も含め平成16年の水害そして中越地震、加えて本年7月の中越沖地震の被害を大きく受けた地域であり、今なお復旧、復興に懸命に取り組んでいる地域でもあります。
 特に被害が大きかった、山古志、太田、栃尾、小国地域などは、被災後の人口減少が著しく、加えて急速な高齢化を迎えております。
復旧事業の原則は、「原形復旧」であり、災害で壊れた道路や水道などの生活インフラは元より、中山間地域の生業である農業の基盤、田畑の復旧も多額の経費を掛けやっていただきましたが、担い手や若手の不足により、復旧はしたが耕作する人がいない、更に農地や用水路等の農業施設の維持さえ、ままならない状況となっている集落も少なくないと思います。

 昨今の農業・農村を取り巻く環境は、
1. 農業のグローバル化により安価な農産物が輸入されるための国産農産物価格の低下
2. 食生活の多様化に伴う、米需要の低下による米価の著しい低下
3. 原油高による燃料費:生産コストの高騰
4. 家族制度の変化に伴う若年層の都市部へ移住、つまり、農業労働力の流出による農村後継者の絶対的不足
5. 流通業の発展により、農村集落内における農業以外の商工業者をはじめとする自営業者の減少
6. 加えて、当市に於いては、地震や水害等の災害による甚大な被害。
等の理由により、中山間地域は再生不能な状況まで追いつめられ、市内には幾つかの、「限界集落」といわれる集落が存在しております。
 折角、地震等による道路はじめ生活インフラ、そして農地等の災害復旧工事が終わろうとしている今、それまで住んでいた「ふるさと」へ戻り生活再建をしていただきたいと願うと同時に、「国土保全環境保全、そして大災害の未然防止」といった意味からも、これまでのように山や田畑、集落、そして文化を守り続けてもらいと思いますが、効率化や国際的な価格競争に力点をおいた昨今の国の農業政策では、災害で傷めつけられた我が長岡市内の中山間地域の再生は不可能のように思えます。
 昭和年代は 農業政策イコール農村政策であり、農業振興策イコール農村振興策でありましたが、先に述べましたように農産物の価格低迷により、農業が基幹産業として成り立たなくなり、条件不利の農山村が衰退し、なくなってしまいそうな現在、国の農業政策だけでは中山間地域が抱えている問題の解決は図れないと思います。
 つまり、国の農業政策から独立した、地方独自の、その地域に合った農村政策、地域振興策が必要だと考えます。
是非、長岡市として独自の農村政策、地域振興策を具体的に打ち出す必要があるのではないかと考えますが、初めに現状をどのように把握されているかについて質問致します。
1. 合併地域における現状について、震災後、合併後の各地域の状況について
 集落、コミュニティの状況はどのように変化しましたか?また、行政に対する地域要望、期待、不安等についてどう理解・把握されておられますか?
 中越地震での被害が大きかった集落の状況について
帰村状況、生活インフラの復旧状況、生業(なりわい)産業、集落共同体:コミュニティ等についてはどう理解・把握されておられますか?
 特に、これまで機能していた集落内の相互扶助、資源保全システムはどのように変化しましたか?
また、これまで農村の構成員であった農家が担っていた国土・環境保全の役割をどう補完されておられますか?
 現在、限界集落と云われる集落は市内に何カ所ありますか?
 合併地域のインフラ整備の状況について
 地域ごとに格差があると思いますが、生活インフラ、例えば下水、道路、福祉、教育、情報伝達といった分野から見た場合、市全体の整備状況はどうですか?
 現在の農業政策で中山間地の集落の再生、維持が図れると考えておられますか?併せて農業農村のもつ多面的機能についてはどのように考えておられますか?
 中山間地の農村は農業生産のみを担っている集団や空間ではありません。中山間地域に人が住み、農林業が営まれることで、水や緑が守られ、そのことで平場の川や海までもが保全されていること、そして都会の人たちが余暇を楽しむ場を提供している等の中山間地域が持つ多面的機能も、国民全員に十分理解して貰いたいと思います。
 また、9月の本会議一般質問で、関充夫議員から「中山間地域の支援」について質問があり、林農林部長から『中山間地域の存続には人的支援が大切。地域資源保全やその資源を活用した都市農村交流など、地域の振興を進めていく上では、そこに暮らす住民の皆様の主体的な取り組み大切であり、時にはひざ詰めで話し合いながら、一緒になって汗を流してまいりたいと考える。』との答弁がありましたが、実際、これまでどのような動きがあったのかも併せて聞かせ下さい。
 次ぎに、これからの長岡市が目指すべく、農村政策、地域振興策について、私の考えを述べてみたいと思います。
 住環境、自然環境に恵まれた農村部は、都市での生活や仕事で疲れた人たちの癒しの場であり、また子どもが育つ場としても素晴らしい環境にあります。
自然に恵まれ、水も食べ物も美味く、屋敷も広く、望めば自給食糧の生産も可能であり、安全な食糧供給が可能です。また、常に農や園芸に触れることが出来、体を動かし綺麗な空気を吸って健康に生活できる。今後近い将来、このような農山村でのライフスタイルが、社会の主流になりうるのではないかと思います。

 日本の10年先を行くと言われております西欧諸国のドイツやイギリス、スイスに於いては、既に都市部から農山村部への定住人口の移動が起こっております。
10年前私が訪れたアルプスの麓にある標高 900mに位置するスイスの農山村は少しずつでしたが人口が増加しておりました。 
 そこの住民は、車で30分程の中核都市で働き、住むのは環境に恵まれた農山村部だと言っておりました。
 その村は生活基盤である道路、水道、下水も整備され、学校、教会、レストラン、そしてちょっとした雑貨屋があり、小さな集落といえども郵便局があり、郵便が運営する公共バスの運行もされていました。
そこに住む人達は、都市部で働いている人達だけではなく、当然、その村で営まれている酪農や農業、教員、牧師、商業、郵便局、公務員等を生業(なりわい)にしながら、観光ガイドや環境保全のための仕事に携わりながら生計を立てておられ、皆、都会では味わえない、ゆったりとした環境に満足されながら生活されていたことを思い出します。

 一方、現在の日本国民の中山間地での生活に対する評価、イメージはどうでしょう?
インフラ整備の進捗率が低い。雪が多い。交通が不便。医療や福祉サービスビスが受けにくい。子どもが少なく学校運営が難しい、携帯電話やブロードバンドそしてケーブルテレビ等の情報インフラが未整備である。等というマイナスイメージばかりですが、果たしてそうでしょうか?
 「灯台元暗し」ではありませんが、実際、そこの良さは、そこを離れ、外から眺めて初めて分かると言われますし、人に評価されることにより、ようやく気付き、『ふるさと、そして俺が誇り』となることも少なくありません。
 積極的に外に出て見聞を広め、そして「余所の人」からたくさん村に来て貰い、都会にはない素晴らしさを教えて貰うことも大切かと思います。

 では、2.長岡独自の各地域の環境条件を生かした農村政策、そして地域振興策について具体的にお伺いします。
 農業だけでなく合併メリットを生かした他地域との連携による、新たなる産業の振興が必要と思いますが、その可能性について
 例えば、 中山間地が持つ多面的機能を活用した総合的な産業育成が必要と思いますがどうですか?
観光(グリーンツーリズム)、環境、農産物加工、福祉、教育等の分野で、中心部や他地域との連携により新たなる生業を起業することはできないですか?
農林資源の活用型の企業、協同組織の再構築は図られないですか?
 次ぎに、 先の6月市議会一般質問では、細井良雄議員から「限界集落と中山間地の支援策」について質問があり、渡辺復興管理監からは、『4月に設立された財団法人山の暮らし再生機構に寄せる役割と期待についてと、中山間地域の住民との対話により具体策の検討』と答弁がありましたが、
 現在進められている山の暮らし再生事業の内容と「山での暮らしの魅力のアピール」はどのようにされておられますか?
 そして、どのようにして山へのUターン、Jターン、Iターンを図られるのか?
また、集落及び相互扶助システムの再編についてはどうですか?
 中山間地における「若者」や「よそ者」等の新しい人材の受け入れ態勢はどうですか?
 若き者や団塊世代を農業者として受け入れるとなると農地法の縛りがきつく難しいと思いますが、その点については特区制度を活用したらどうですかと思いますがどうですか?
そして起業意欲を持った若者、よそ者の受け入れには、地元の合意形成が必要と思いますが、これまで具体的な活動はされているのか?されたのであれば実例を聞かせ下さい。
 最後に3.中山間地域を守るという市長の決意についてお聞かせ下さい。
 日本という国を守り発展させて行くには、『お互い違った物同士の連携』が大切であると思います。例えば「山と平場の連携、農村と都市との連携、地方と中央との連携」そして「それぞれの所に住む人達の連携」であると思いますが、そういった意味でも「山村を絶やさない、農村を絶やさないそして地方を絶やさない」という思想が大切かと思います。
 都市部の反映は地方・農山村部のお陰で成り立っているのだという発想で、是非、効率や経済的な損得のみの中央中心の政策実施により、地方が潰されないよう、是非、長岡から全国に発信出来る農村政策、地域振興策をお願いすると同時に、このことに対しての森市長の意気込みをお聞かせ下さい。