入るもの出るもの「デンマークのお話し」

 昔ドイツで駐在員をしていた時、年に2〜3度はデンマークへ出張しました。デンマークも含め北欧は税金の高いところ、デンマークの農家を訪問するとしばしば、「税金の話」が持ちかけられたものでした。
隣国のドイツは付加価値税(日本でいうと消費税)が安いので、デンマークの名だたる港からは、定期的にドイツのキール港や国境の町フレンスブルク港まで「買い物観光船」が運行されていました。
運賃は通常の列車や船で行くのに比べれば只みたいなものでしたが、必ずデンマーク人相手の大きなスーパーやおみやげ屋で買い物する時間・日程が組み込まれていました。いずれにしてもヨーロッパは陸続きが多く、付加価値税の多寡により国民が移動していました。因みにドイツ人はオランダへ、スイス人はドイツへ良く買い物に行っていました。
 このようにデンマーク人は税金の話はしても、政治に対しては、今の日本人程不満は持っていなかったような印象でした。
 社会保障も充実し医療・介護は外国人でも安心して受けることが出来、また、原発を否定しているデンマークでは、至るところ無数の風力発電のプロペラが回り、農業においても環境政策、品質管理が徹底しており、高等教育を受けるのも殆どお金がかからず、皆満足して生活しているようでした。
特に我々日本人に対しては優しい国民であった記憶しています。デンマーク人の祖先バイキングの勇猛果敢さは何処へ行ったのか?そして、言葉が分からなくて、仕事が出来ない日本人実習生も皆暖かく包み込んでくれる包容感のある国民であり国でした。
 当時の在コペンハーゲン日本大使館の農務官が「デンマークは日本の様な財務省はなく、税金を集める部局と税金を割り当てる(使う)部局がそれぞれ独立している。つまり、自分が税金を集めたから、自分に使う権利・割り当てる権利があるのだという日本の財務省的な部局はないので税金の執行:政治がきちんとしているのだ!」という話を、今日の参議院の代表質問を聞きながら思い出しました。
 子育て支援補助金交付、高校までの義務教育化、地方の生活道路の整備等どれをとっても今よりも財源が必要なのに、良いことばかり、使うことばかりをまくし立てている野党側の代表質問は只々選挙目当てのパフォーマンスとしか聞こえて来ませんでした。
これまで多額の借金を抱えて「ひ〜ひ〜」悲鳴を上げて、昨今の株価の大暴落、景気悪化を招いている国なのに、野党だからといって「言いたい放題」とは、情けないとしか思えません。財源が確保されて漸く実行できるのが政策です。そのことを国会議員の先生方もっときちんと理解して貰いたいと思うと同時に、省庁間の予算取り合戦や役所の前例主義、そして財務省中心の予算編成にこの辺でメスを入れなければならないのではと思いますが???