次男の誕生

 昨日息子の誕生日の夜、ドイツでの次男の誕生のことを思い出した。
 長男の時の経験もあったので、妻ともよく相談しながら出産まで備えた。
 まずは、出産する病院を決めることから始まる。知り合いのドイツ人や日本人の友人から何処の病院が良いかの情報を得る。その後、その病院に連絡し、出産を控えている両親を対象とした病院見学会の日程を聞き、夕方1時間余りの見学会に2人で参加した。
 分娩室から病室まで案内してくれ、出産当日の対応、家から持ってこなければならない用品等の説明を受ける。
 また、両親を対象にした出産までの学習コース所謂マタニティーコースが設けられているので、言葉が不自由な我々外国人にとっても安心して出産できる制度であると感心した。
 出産当日、妻の陣痛が始まると車で病院へ直行、控え室で陣痛の間隔が短くなるのを見計らって、分娩室へ私も一緒に入る。妻が苦しむのをどう介抱して上げれば良いかと思い悩みながら、手を握り、背中をさすってやったりし、陣痛が落ち着くと一休み。何回かそれを繰り返しながら、正に出産間近になると担当医が入室してきていざ出産となる。
 子どもが元気よく産まれると、鋏でへその緒を切るように促され、促されるままに母と子の絆を我が手で切断した。
 直ぐに産湯に入れてやり、綺麗に洗って上げた。正に感動の一瞬であった。
 へその緒を欲しいと言わないと棄てられてしまうので忘れずに注文した。ドイツではそのような風習はないとのこと。
 日本国内では夫が出産に立ち会うことは当時殆どなかったが、出産の苦しみは男には分からないもの、それだけ大変な仕事であるのだから、側に居て、何も出来ないが手を握って励ましてやることが、その後の夫婦の絆、そして親子の絆を確かにするためにも大切な行為ではないかと思った。
 だからといって我々夫婦これまで順風満帆であったかというと山あり谷ありであったが、現在、家族皆健康、元気に生活できていることは、凄く当たり前のようであるが、凄く素晴らしいことであると思うと同時に感謝している。