カレンダーとヨーロッパ農業

 年末クリスマスカードの代わりに日本のカレンダーをヨーロッパはじめ海外でお世話になった方々に送っているので、そのお返しにドイツやスイスやデンマークなどのカレンダーも何冊かもらっている。
 ドイツのカレンダーには、本日3月24日から始まる週は、第13週と書かれている。元旦から何週目という意味である。1年52週であるから今週が終わると丁度4分の1が終わることになる。本当に早いものである。
 さて、ヨーロッパでは、元旦からの日最高気温の積算温度がしばしばテーマになる。
 以前は、3月の初め頃オランダ国内のアウトバーンを走っていると、田舎の香水がどこからともなく漂って来たものである。元旦からの積算温度が100度を超えるまでは、家畜のスラリー(糞尿)を畑に散布してはならないという決まりがあり、3月の初旬その積算100度が達成されると同時に一斉にバキューム車から糞尿が畑の表面に黒く筋状に散布され、ぽかぽか陽気も手伝い、正に春の風物詩的な『匂い』として感じられたものである。しかし、昨今は環境問題や市民の苦情からそれらの表面散布は禁止になり、土中注入方式に代わり、匂いも非常に少なくなった。
 では、100度にどういう意味があるかというと。
1. 土が凍らなくなり、糞尿を撒いても土中に浸透し表面流出しない。
2. 土中の微生物の活動が盛んになり、散布した糞尿の分解が進む。
 糞尿タンクに9ヶ月間貯め込んだスラリーを一斉に畑に撒き散らす訳であるから、この100度を畜産農家は皆心待ちにしているのだ。