家畜の数と経営面積

ヨーロッパでは、家畜の飼育頭数:例えば乳牛に関して言えば、
1. 牛乳の生産枠
2. 糞尿を処理するための経営畑地・牧草地の面積
 の2つの項目で制限されている。
 つまり生産枠を拡大するには、経営面積を拡大しなければ出来ないということで、現在の低乳価時代では、なかなか実現可能なことではない。
 先週、ドイツバイエルンの日本の農業者の農家民宿滞在で大変お世話になった『Sさんの農場が乳牛を売り牧場を閉鎖した』との残念な知らせが入った。農地も人に貸し出し耕作して貰うとのこと。
高校生の頃から跡継ぎとして7年間父親として一緒にやり、その後1人で10年間立派に経営を担ってきた息子さんのR君は、長距離トラックの運転手になったとのことである。
 どこも彼処も農業が置かれている立場は多かれ少なかれ同じような状況である。以前も書いたが『アグリ+カルチャー』『農という文化』が失われて行くことへの不安、危機感を感じ得ない現代人、一方では農や食へ「安心、安全」を求める現代人、これら2つの矛盾する現象が同じ国に存在し得ることは、正に政治の責任であると強く実感する今日この頃である。