技術革新が目指すべきもの?

 昨晩のNHKスペシャル『北極大変動?氷が消える資源争奪戦突入▽海底ガス田が巨大マネーを生み出す』を興味深く見入った。
 地球の温暖化で北極海の氷が融け、それまで開発不可能だった氷の下の海底ガス田や油田の開発に、隣接国であるノルウエーやロシアが『早い者勝ちの法則』で、しのぎを削っている様子が報道された。それらの開発を更に促進しているのが日本や韓国の新しい掘削機械や砕氷船を作り出す技術力であることも併せて報道された。
 化石燃料の利用を抑えることが温暖化対策の主要テーマであるにも拘わらず、温暖化のお陰で開発が可能になったからという理由で、それまでほとんど開発が入らなかった人跡未踏の地で化石燃料の掘削を計画し、4〜50年程の埋蔵量しかないものを根こそぎ搾り取り、原油高の現在、多くの富を得たいと考える石油・ガスメジャーの動きは、地球環境を守り、良好な環境を次世代にバトンタッチするという現在の思想に正に逆行する行為であると思う。
 その行為をより現実かつ確実なものにするために日本や韓国の先進技術が寄与?している状況は、その「逆行」行為を荷担しているようにも思えた。
 二酸化炭素排出量の削減に代わるべく、二酸化炭素の吸収、地下への封じ込め、そして二酸化炭素排出量の売買等と訳の分からないビジネスが誕生し環境対策措置が金になり、また先に上げた資源開発等の環境破壊行為?が一大ビジネスになり得る社会は正に狂気の沙汰としか思えない。技術革新が金儲けのために使われ、そして金儲けのために技術革新が行われるという現代資本主義の矛盾を露わにしている事象であると思う。
 本来技術革新は人類の福祉平和の為に使われるべきものであり、もしこのような現実が更に進めば、第2次世界大戦同様、領土や利権争いの為の世界戦争が始まるのではないか?と大いに懸念している。
 そして、富める者だけが更に富み、貧しき者は更に貧しくなり、地震や温暖化による気象の変動の現象であるサイクロンや台風そして竜巻などの自然災害の犠牲になってしまっている現実を見るに、『金儲けの為の開発は止めさせ、技術革新を世界平和のために使うべき!』と声を大きくして言い続けなければならない時代になってしまったか?と悲しさを感じる。