ワークシェアリング

 10年前にドイツで生活していたとき良く耳にしたのがオランダで取り組んでいたワークシェアリングです。
 不景気の煽りで、失業者が増加し社会不安が増大していた頃、自らの労働時間を減らすことでその分を失業した人たちに使ってもらおう!というのがワークシェアリングの主旨でした。それまで8時間だった労働時間を6時間にし、その分給料は減るが、失業者の働く場を創設することが出来、社会全体の安全・安心に繋がる仕組みです。
 一方、労働時間短縮で生まれた自らの時間は、家庭や地域そして社会の自分のために使う時間として活用されました。
 さて、今の日本はどうでしょう?勝ち組、負け組が鮮明化し、勝ち組は労働時間も長いですが、収入は安定し保障されています。
バブル崩壊後、企業も行政も合理化という名の下に正規雇用の人数の削減を断行、一方では仕事をこなすため時間外労働が多くなり「過労死」も少なくありません。
一方負け組はというと、非正規雇用者と命名され、例えば、時給750円、1日の労働時間は9時〜15時の6時間、1日の日当は4,500円、手取りで月10万円程、社会保険もその中から工面しなければならない状況です。
 正規雇用とこんなにも格差があるのだろうか?と大きな疑問を感じます。
空前の利益を上げているという大企業もあり、また月1店舗の割合で全国に支店を増やしているショッピングチェーンの小売店も少なくありませんが、そこで働く殆どの労働者はアルバイトやパートが中心で、不安定な雇用の条件のもとで働いているのが現状です。
 これ位の給料では結婚も出来ない、子どもも産めない。少子対策の一番の決め手は、雇用対策であるのに、子育て支援や児童手当等どちらかというと選挙目当ての施策が中心で、雇用条件の改善などには、残念ながら手を付けようとしないのが現状です。
 この6月からガソリンが値上がりし、食料品や公共交通の運賃の値上げなども目白押しである。雇用が安定しなければ、益々勝ち負けの差は明確になり、負けは益々ひどくなり生活できない状況までに追い込まれないうちに何かしら政治として手を打たねばならないと思いますが???
 ワークシェアリングなんかもひとつの方法と考え、特に公である行政分野から取り組んでみてはいかがかと思いますが?