蟻と蟋蟀(キリギリス)

 現在国会では後期高齢者医療制度の見直しがテーマとなっており、特に野党各党は制度の廃止を訴えている。
 日本の医療制度は世界に誇れるものであると思う。ドイツに居た時は、ドイツ国民が加入する通常の健康保険には加入できず、所謂プライベート保険に入っており、家族5人で月10万円近くも支払っていました。その分、ほぼ100%保険がカバーしてくれ、そして大学病院等においては、医学部教授から看て貰うこと出来ました。金が有れば高度な医療が受けられる仕組みに何か日本の健康保険制度に慣れた自分は違和感を覚えました。
 数年前に姉妹都市のドイツ・トリア市からのお医者さんや弁護士さんのグループが来岡した際、日本の健康保険制度について話してあげましたら大変感心されました。
 その一つが保険料の安さ、自己負担があること、そして誰でもが加入できることです。
この制度は多くの加入者、そしてその加入者が支払う保険料で賄われていることが原理原則となっています。
しかし、昨今は雇用情勢の悪化から社会不安が高まり、加えて保険や年金会計から訳の分からない支出がなされているため、加入者の減少と保険料の未納が多くなり、制度自体の存続が危ぶまれています。
 そんな中生まれたのが「後期高齢者医療制度」かと思います。
保険料を年金から天引きするのはいかがなものか?
保険料が高過ぎる。国の負担をもっと多くすべきだ!
とか自分にとっては一寸理解できない意見が当たり前のように報道されていますが、年金からの天引きは、保険料収入の安定化を図る手段であり、また、保険料が高すぎるのは医療の利用が多くなったからの理由で、国や官僚が勝手に決めていることではないかと思います。
「年金の天引きをしないで、加入者にどのように保険料を払わせるべきなのか?」「保険料の国の負担を多くすべきというが、どこからその財源を持ってくるのか?」等、具体的な提案はされていないように思います。
「文句は言うが責任を取らない」現代社会は何かそのような気がしてなりません。
今は払わなくて良くても、その付けは必ず因果応報でやってきます。自分に降りかからなくても次世代の子どもや孫に掛かってきます。
今を謳歌するキリギリス、冬の厳しさを念頭に日頃頑張っている蟻の例えと同じ、キリギリスを主張し過ぎて後世のアリに迷惑を掛けないよう良く考えなければならない気がします。
この問題は、正に『世代の間の収奪合戦』のように思えてなりません。若い世代もっと政治に意見を述べよ!