障害者の社会進出

hiroshikaro2008-06-20

 昨日の一般質問で「指定管理者制度について」質問し、その中で広島県呉市知的障害者授産施設野呂山学園の取り組みを紹介しましたので、その抜粋を掲載しました。
『我々新政クラブは、今月初め広島市呉市にあります岳心コーポレーションの一つの施設、知的障害更生施設 野呂山学園を訪問してきました。
この施設は、これまで積極的に園芸福祉活動に取り組み、知的障害者の日中の中心的な活動とし「花の苗」の生産をしてきました。並行して市立の公園の花壇管理や野呂山学園に隣接する大きな農業公園、大規模リゾートホテル、老人福祉施設、商店街などの花壇管理を請け負ってきました。
昨年施設に隣接する大きな農業公園の運営が公から民へ、つまり、指定管理者制度に移行するに当たり、「指定管理者が誰になるか?もし安いだけの業者に移行されたら?これまで野呂山学園で生産してきた花の苗を買って貰えるのか?」との大きな不安が生じました。しかし、もし自らが指定管理者になれば、そのような不安もなくなると同時に、公園の管理だけではなく、園内にある売店やレストランの運営、宿泊施設の維持管理といった、たくさんの業務の中には、障害のあるなしに拘わらず出来る仕事がたくさんあり、その仕事が野呂山学園の利用者の就労の機会を広げることができるのでは?と考え指定管理者制度に応募しました。

 指定管理者の応募者は、ビルメンテナンス会社や造園会社など、それまで指定管理者としての実績のある、いわゆるプロの団体ばかりでした。しかし、素人同然の野呂山学園がこれまで園芸を通じて公園で活動してきた経験や地域との交流で生まれた沢山の成果を基に、管理運営について真摯に提案したところ、管理費の見積りの項目では他社に劣っていたとのことですが、総合評価で、野呂山学園を中心とした岳心グループが指定管理者の指名を受けることになりました。
指定管理に選定されると管理者として野呂山学園の利用者、職員全員に「何処にどの花を配置することで、公園に来て頂いた多くの人に楽しんでもらえるのか?等という、これまでには無かった積極的な発想が生まれ、学園内の雰囲気も良い方に変わって行きました。

 指定管理者として公園管理をして行くには、野呂山学園の利用者や職員だけでは打開できない技術的そして人員的な問題がありました。機械や器具、そして重機などを必要とする業務も多数あり、それらの業務は地元の兼業農家の方々や建設業をはじめとした様々な職種の方々で構成する地元ボランティア団体と共同体を組織することで公園管理の運営を始めました。
その結果、知的障害施設で働く利用者の月額工賃は全国平均で1万円を下回りますが、指定管理者を受けた結果、野呂山学園の利用者は、その数倍もの収入を得ることができました。
 また、ボランティア活動はこれまで無償が原則でしたが、地元ボランティア団体からは有償活動として参加してもらい、その団体の活動資金の一部を得ることができました。
 
 まだまだ初めて1年余りですが、その農業公園やレストラン、宿泊施設等の利用者数は、指定管理者制度移行前に比べ2.5倍にもなり、また、施設の利用収益も格段に上昇し、行政、施設利用者そして市民からも高い評価を受けています。
現在、指定管理に携わっている野呂山学園そして地元関係者方々の目標は、『農業公園を訪れる方々が、障害者や地元ボランティアが公園の管理者として一生懸命活動している姿を見てもらい、現在、生け垣やプランターに捨てられているゴミをなくすことにつながっていかないか?さらには花壇の雑草を進んで抜いたり、ゴミを拾ったりする人が少しでも多く現れないか』ということだと伺い大変感動しました。』

 このように野呂山学園の取り組みはこれからの障害者の社会進出に対して、様々な問題解決の糸口になるかと思います。第2の野呂山学園を目指して、長岡でも取り組みを始めたいと意気込んでいます。是非、皆さんからの協力よろしくお願い致します。