潰れる!

 「会社が潰れても、人が潰れない!ヨーロッパの社会」「会社が潰れれば、人も一緒に潰れてしまう日本社会」山一証券の破綻の時にこんな思いを抱いたことを思い出しています。
 さて、今の日本はどうでしょうか?「会社が潰れなくても、人が潰れてしまう社会」になってしまい、山一の時よりももっともっと悪い社会になってしまったのではないかと思います。
昨年史上空前の利益を上げた日本の花形企業であるトヨタ、キャノン、シャープ、ソニー等が大量の首切りを公然としていることに唖然としています。
昔の戦時下の徴兵制のように労働者を人とも思わず、企業の利益の為にはバッサバッサと切り捨ててしまう今の日本大企業の企業の識見、モラルを疑うと同時に、そんなにまで労働者の権利が軽んじられているのに、何も抵抗出来なくなってしまった労働者の不甲斐なさを感じられずにはいられません。
 国鉄の解体、JRの移行、それによって労働運動の総本山的な存在であった国鉄労働組合も解体され、労働組合運動も弱体化し、社会党も衰退したため、企業の利益追求が第一優先されてしまっている社会は、正に、格差社会を作る大きな要因であると思います。
 労働組合だけでなく、日本にある組織という組織は弱体化してしまいます。PTAから始まり、子ども会、町内会等、利己主義が横行し、自らが良ければ組織など要らない、そんな考えから組織活動は見向きもされなくなり、役員のなり手はなく、何で自分が犠牲になってまで組織を維持し無かれ場ならないのか?という組織不要論までが飛び出す昨今、弱き者が協同し戦い、自らの権利を主張してきた時代は遠い昔になってしまいました。
 その状態が正に格差を益々大きくしてきており、格差が大きくなれば成る程、社会全体を支える行政コストが増すことを気付いていない政治家、経済学者が多いことは、1052年に末法の世の中になってしまうという思想が流行した歴史を思い浮かべています。