大人の社会

 子ども達は今夏休み真っ只中、しかし、あと10日で1ヶ月の夏休みも終わりだ。
 子どもは休みだが、大人の社会はお盆といっても今日は平日なので銀行もお店も開いているので、中1の二男に「自分のことは自分で!」と言って、川西のスポーツ専門店まで一人でグローブを買いに行かせた。
 まずは午前中一人で農協へ行かせ、小遣いを積み立ててある口座からグローブの代金相当を引き出させた。いつもは学校で農協へは行けないので、妻が代わりに積み立て、引き出しに行くのだが、一人で行くのは今回が初めて。色々聞いて行ったが、20分程で無事帰って来た。しかし「1万円札ばかりで貰うのではなく、千円札も混ぜて貰うように」と事前にアドバイスしていたが「ついつい忘れてしまった!」と言う。
 お昼を食べた後「一人で自転車で川西のスポーツ店へ行きので行き方を教えて呉れ」と言うが、過去何回も行ったスポーツ店なのに毎回車で連れ行っていたので、行き方が分からず再三聞き直す。
 私は「駅の西口から真っ直ぐ行け大手大橋、それを渡って更に真っ直ぐ行けば右手に見えるから心配するな!」と言って漸く納得したようで「ヘルメットを被って、気をつけて行ってこいや!」と言って送り出そうとした矢先、
 妻は「そこのスポーツ店のカードを持っているからカードで払えば10%引いてくれるから私も一緒に行くよ!」。
 私はすかさず「折角一人で冒険かたがた行かせるようにしたのだから、割り引かれなくても一人で行かせてやったら!」と言うと、
 妻は「もし、1万円買ったら1,000円も節約になるのだから!」
 私は「分かりました。買いたいグローブが決まる1時間後にスポーツ店で会い、支払いはあなたがカードでしたら!」と言って話が纏まり二男は意気揚々一人で出発した。
 1時間半後二男と妻はそれぞれ自転車で無事帰宅した。二男は満足そうに買ってきたグローブをに見せたので「幾らだった?」と聞いたが、自分が現金で直接支払った訳ではないので曖昧な金額しか返って来なかった。
 これまで子どもが忙しので買い物は日曜日か夕方が殆ど、時間がないので車で連れて行き「早く決めろ!」「これは駄目だ」「こちらが安いぞ!」等と子どもに選択させる余裕など持たせず常に自分・親・大人の考えばかりを押しつけてきたような気がし反省している。
 また、店も親が一緒に来れば、子どものお強請り(ねだる)に弱い親の財布の紐は緩くなるし、子どもの万引きなどの危険性も軽減されると考えてか、現在はカードによる「囲い込み」が盛んであり、自分もその「囲い込み」の虜になってしまっているのが現実である。
 このように今の社会は、カードを持たない、そして身分証明が出来ない子どもだけで買い物することは非常に難しいように思える。一方親も子どもと一緒に買い物するのが楽しい様でほぼ親子での買い物が普通である。
 自立した子ども、一人で何でも出来る子どもに育って貰いたい願う親は少なくないと思うが、経済優先、危険が一杯潜んでいる大人社会では子どもだけで買い物するのも難しくなったように感じられる。
 大人中心の社会を見直さなければならないと感じられた我が家の1日だった。