村上市の町屋!

鮭屋 きっ川

 先般新潟のイタリア軒で開催された地方自治経営学会の研修会で講演された村上市の観光カリスマ 吉川真嗣氏のお店「きっ川」と村上の町を訪ねて来ました。
 吉川さんが中心となって10年来行ってこられた「村上の町興し」
「町屋の公開」

から始まり「町屋の人形さま巡り」「町屋の屏風まつり」
「黒塀プロジェクト」

「宵の竹灯籠まつり」「町屋再生プロジェクト」そして「黒塀通りの美土里3倍計画」と様々な企画と実行を通しての村上の中心市街地の町興しは、今正に発展段階であると確信しました。
 駅前にレトロな黒塗りのバス「むらかみ ルネサンス」が到着すると直ぐさま沢山の観光客が乗車し4名程の方々が定員オーバーで置いてけぼりをくっていました。

 駅前の観光案内所で村上の町屋のことを訪ねた所、いの一番に「きっ川」を紹介されました。
 また、昼食をとった駅前の旅館兼食堂の石田屋旅館の女将さんは、村上の鮭のことから町屋のこと、そして観光スポットそして瀬波温泉のこと等、様々な情報を教えてくれました。
 最初に訪問した「きっ川」は鮭屋さんで鮭の塩引きから鮭の加工品まで多くの商品が陳列されていました。店の奥は所謂「町屋」の奥で、ウナギの寝床のような、間口が狭いのに、奥行きは何メートルもあり、裏までははっきり見えない位でした。そこには沢山の鮭が吊してあり、その下で真嗣さんのお父さんがお客さんを前に、小さな声で鮭のお話をされていました。皆さん聞き入るようにして静かに聞いておられ、いつも大きな声でガーガー云っている自分にとって「こんな話し方も」あるのだな〜と大変参考になりました。

 今回の訪問で一番強く感じたことは、景観もさることながら観光案内所、食堂、町屋、店やさんで対応される方が、訪問者である我々に対して積極的に話しかけて来られたことで他の観光地にはない「人と人との交流を非常に大切にされていること」でした。
 ただ物を見せたり売ったりするのではなく、観光というものを通じて訪れた人達と積極的に交流することで自らを高め、そして相手にとっても価値ある情報を与えてやる。所謂「相乗効果的な村上的観光業」に感心しました。
 私がドイツで農家民宿を視察したり泊まったりした際、農家の女将さんが「確かに農家民宿を始めたことで所得特に自分(女将さん)の小遣いが上がったことは目に見えた成果である。しかし、それ以上に予測していなかった成果があった。それは居ながらにして、訪問される方々から様々な外の情報が入手出来ること、そして他人との交流を通じて自らの資質がずいぶん高まった」と云われたことを思い出しました。
 観光とは只単に金を稼ぐ経済的効果だけを目的にするのではなく、自らを高めそして他人をも高める産業であるということを良く認識し、金勘定に終始するようでは決して長続きしないということを再認識した村上の訪問でした。