外国人への参政権付与

 昨日の長岡市議会最終日の本会議において「永住外国人への地方参政権の付与に反対することに関する意見書」が議員有志から提出され、7名の議員が賛成・反対の立場から活発な議論がなされました。
 議論の骨子は、
 1.憲法違反かどうか?
 2.人権問題・国際問題だ!
 3.納税しているのに政治に参加する権利が認められていない?
 4.諸外国では既に外国人の参政権を認めているから認めるべきである?
 
 これら4点について賛成反対の立場で討論がなされました。
 1,2については、それぞれ法の解釈の問題や個人的な捉え方で差異が生じるのは分かりますが、3,4については、私としては以下の様に考えます。

 冒頭に、私は地域で暮らす外国人の人権や生活権を守り、互いに信頼関係を深めることは大切であると思います。

「在日の人達をはじめとした永住外国人は、この社会の一員として日本に長く居る人で、日本で生まれ育った人も多い。地域の一員として暮らし、税金も納めている。こういう人達に参政権がなく、社会の重要な決定に参加出来ないのは、現実を無視しているように見える。日本の社会は日本人だけのものではなく、そこに暮らす全ての人達のものだから参政権を付与すべきだ。」
 税金を納めているということは、道路を利用したり、警察や消防といった行政サービスを受けたりする対価であって、参政権とは別の問題であると思います。

「ヨーロッパ諸国では10人に1人や2人が外国人という国も多く、スウェーデンノルウェーデンマークといった北欧諸国やオーストラリア、ニュージーランドでは、3年くらいそこに暮らしている外国人には地方参政権が認められており、お隣の韓国でも、永住外国人地方参政権が保障されるようになったという先進事例があるのだからそれに見習って付与すべきだ!」

 以前、私が7年間暮らしておりました旧西ドイツの首都であったボン市には人口30数万人、在外公館があったことやヨーロッパ各国からの外国人労働者、学生数4万人余りのボン大学の留学生など当時人口比で15%もの外国人が住んでいましたが、外国人には地方参政権は付与されておりませんでした。
 しかし、ボン市に於いて注目すべき事は、市行政当局は、それら在留外国人の要望や意見を聞くために任意の組織「外国人評議会」なるものを立ち上げたことです。当時在留5年目で、永住資格を認められた私にもその外国人評議会の議員の選挙の案内が来て投票したことを覚えております。
 外国人評議会は市行政の諮問的な組織で、そこで話し合われたことを市政に反映させると同時に、行政からは、それら議員を通じて在留外国人に対して様々な情報を与えるといった役割を担う任意の組織でありました。

 このように外国人の地方参政権を認めることは、住民参加の地方自治を大事にすることであると評価しますが、先に挙げた地方参政権を認めている諸国に比べ、日本における外国人の割合は未だ1%と低く、また地域的に大きなばらつきがあります。
 加えて、日本の社会における市民の国際化・国際理解は、残念ながら地方参政権を認めている諸国に比べまだまだ後進国であると言わざるを得ないのが現状です。
 今回私が言いたいことは、永住外国人の権利や要望を政治や行政に反映するために参政権を付与するということは、ひとつの考え方であり、世界の趨勢かと思いますが、外国人受入れの経験・歴史の未熟な日本において、参政権という日本人としての大切な権利を今外国人に付与することは時期尚早であると思います。
 付与する前に、先ずはボン市のように任意の外国人評議会的な会を立ち上げ、そこで外国人の意見をしっかり聞いて、それらを市政に反映するようなことから取り掛かるべきではないかと思います。
 いずれにしても参政権を外国人に付与することは、もっと時間を掛け良く議論した上で判断すべき事であり、政権交代がなされたからということで、早急に答えを出さなければならない安易なテーマではないと思います。