働くこととその対価

 青年会議所の友人から「障害者雇用に関する企業アンケート調査」の結果資料を見せて貰いました。
 経済状況が思わしくない昨今、障害者の雇用は一般労働者に比べ更に厳しさを増している様子で、障害者自立支援法施行の下、障害者、そしてその家族の方々がご苦労されていること、この結果を見てひしひしと感じました。

 この調査結果で特筆すべき点が2点ありました。
 ひとつは「授産施設活用のメリット」の第1の回答は「価格が安い」(50%)
 もう一つは「授産施設活用のデメリット」の第1の回答は「適切な仕事がない」(50%)
 この2点から考えられることは「企業/雇用側は障害者は仕事がないのだから、安く使える。そして今はその安い仕事もないのだから障害者には仕事をやれない!」と考えている企業が半分もあるということになります。
 今の社会で暮らしている我々にすれば、すんなりと理解できる考え方かも知れませんが、良く考えてみると全く矛盾の多い考え方ではないでしょうか?

 つまり「授産施設は安く使える」という考え方は、現代社会では、よく「費用対効果」「効率・成果」という言葉を使っていながら、一般労働者と同じ成果を出しているのに、何故、障害者に支払う対価は少なくて良いのか?という大きな矛盾です。
 費用対効果をいうのであれば、同じ成果に対して同じ対価を払うべきと思いますが、現実はそうではありません。

 また、このことは一般労働者についても云えることですが、現在パートが貰う時給は、最低賃金新潟県は670円位ですが。)その単価に多少毛が生えた位の700円から800円です。1日8時間働いても8時間×800円で6,400円にしかなりません。
 一方、現在の公務員の平均的給料は年俸で500万円〜600万円、12で割って月に直し、それを20日で割って日給に直し、更に8時間で割ると2,600円〜3,100円という時給になり、パートの賃金に比べれば3倍〜4倍もの額になります。
 この差は一体何なのか?公務員はパートに比べ、そんなに生産性の高い仕事をしているのか?それとも責任のある仕事をしているのか?という疑問がわいてきます。
 つまり、この賃金格差は定職に就き働くこと/正規雇用と非正規雇用との差であって、決して「費用対効果→効果対賃金」では無いはずです。
 しかし、正規雇用は「勝ち組」、非正規雇用は「負け組」という呼び方をし、敢えてこの矛盾を感じさせないようにして、我々日本国民は現実を納得・理解しているのだと思います。
 つまり、勝ち組と負け組の賃金格差は、負け組の賃金を勝ち組が取っているという構造だと思います。
 果たしてこのような社会は正しいのか?
 働くことに正当な対価が支払われ、障害を持った者も普通に働き、生活し住まえる社会こそが、これから日本がそして日本政治が目指すべき社会ではないかと考えますが?