日本政治の資質とモラル

 またまた始まった「任命責任」問題、閣僚の不穏当な発言で政治と国会が混乱し、緊急かつ最優先にしなければならないことをそっちのけに政争が始まるかと思うと、本当に情けないと思うと同時に、日本の政治家、政界の資質の大きな疑問を感じる。
 鉢呂大臣とは17年前にドイツバイエルン農家民宿を2日間案内、ご一緒し有名なミュンヘンの ホーフフロイハウスで1Lジョッキーで一緒にビールを飲んだことがある。
 北海道出身ということから農業に対する造詣が深く、当時、バイエルン州の農業政策や農村計画等を熱く語らせてもらい、真剣に聞いて貰ったことを思い出している。また、気さくにお話しできる方であったとの印象が大きい。今、その方の2つの発言が大問題となり、政治の混乱を招いてしまっていることは本当に残念でならない。
 今回、鉢呂大臣は発言の責任をとり辞任したのたが、大臣とう立場となるとそれだけでは済まない。目まぐるしく交代し続けた首相の下での大臣の辞任劇は日常茶飯事であり、常に大切なことが先送りされ、国民の不利益となってしまっていることを残念ながらマスコミもそして誰も指摘しない。
 今回の野田内閣についても党内融和を優先しての閣僚人事、党人事であり、当然、野田首相が全ての閣僚の資質を把握しての任名ではない筈なのだが?「重箱の隅を突いて、瓢箪から駒、藪から蛇」的な発想で、足の引っ張り合いが始まったとしか感じられない政争劇である。
 何故、大臣になった途端、このような不穏当なそして不適切な発言が表面化するのか?
 7期も選挙という洗礼を受けたベテラン代議士が?と思うが、これら不穏当な発言は、一代議士の内は許されるが、大臣になると許されなくなるという政界の一定ルールがあるように感じられる。
 いくら一代議士と云えども、今回の発言は不穏当と言わざるを得ないが、マスコミも政界もそのようなことを報道、指摘したら、ほんとうに枚挙に暇がない位の数になるので、報道も指摘もしないのが現実であると思う。しかし、そのような不穏当な発言をする政治家ばかりでは本当に日本はどうなるのだろうか?
 野党は首相の任名責任を問うのであれば、国会はその首相の指名責任が問われるべきであり、その国会議員を選んだ国民はその選挙責任を問われるべきである。
 一国民として、大震災から半年目の今日、任名、指名、選挙の責任などと云う前に、まずは、大震災からの復興、そして低迷する経済の立て直しに日本政治は、政治家は、エネルギーを節約することなしに、しっかりそれら諸課題に集中して使ってもらいたいと思う。