水を想う

hiroshikaro2011-10-22

 今日は、ホテルニューオータニ長岡で開催されました緑水工業主催の『水環境フォーラム〜水を想う〜』に参加して来ました。
 現在様々な分野で活躍中のグローバルウォータージャパン代表の吉村和就氏の基調講演は分かり易くそして示唆に富む内容で大変勉強になりました。また、引き続いて行われたパネルディスカッションも、それぞれの立場の方々の現状報告、課題、そして将来への期待が発表され、副題である「〜水を想う〜」水を考える良いきっかけになりました。

 大学で農業土木を専攻した私は、水文学や水理学等を学びました。特にその時衝撃を受けたのが、生活用水、工業用水、そして農業用水の中でどのよう水が一番使われているか?との問いに対して、私も含め、ほとんどの仲間は、工業用水、生活用水、農業用水の順だと答えましたが、実際はその逆で、農業用水が全体の3分の2を占めており、他の2用水は残りの半分位であるとでした。
 多分、今の一般市民が抱いている感覚も、私たちが当時抱いていた工業、生活、農業の順であるのではないかと拝察します。
 実際、今日のフォーラムでも身近な生活水つまり上下水道や地下水のことが話題になり、農業の用・排水は殆ど話題になりませんでしたが、水を考えるに際しては、いの一番に最大容量である農業の用排水に着目することが肝要ではないかと思います。
 農業用水を節約して、より品質の高い水を生活用水や工業用水に回すことが出来れば、日本の工業、産業はもっと発展するのではないかと感じました。
 また、農業県である新潟県は、豊富な水に恵まれ美味い米、野菜、農産物の宝庫となっていますが、その水を水不足の地域そして中国等に積極的に売り込むことで、新たなる新潟農業の展望が開けるのではないかと思いました。
 日本の表面水には殆ど水利権なるものが存在し、勝手に水を使う事は出来ません。つまり、農業用水が3分の2を占めていることは、言い換えれば農業水利権が一番大きいと云うことであり、その水利権を上手く使うことで、農業の優位性も生まれてくるのではないかと思います。そのためには、用水の節約:つまりこれまでのかけ流し方式の用水利用から貯め水方式とし、川からの用水と云うよりも天水(雨水)で賄えるような、灌漑システムを構築すべきであると考えます。
 また、生活排水、工業排水に比べると農業排水の基準は随分緩やかで、農薬や化学肥料そして堆肥等が川に排水されても殆ど問題視されません。つまり農業排水の品質管理をしなければ、下水道の普及が進んではいますが、水の品質向上は望めないのではないかと思いますが、誰も農業排水について触れようとはしません。
 農家がしっかり勉強し、危なく汚れた様な排水を出さないことに気をつけなければならないと思います。