映画 人間 山本五十六を見て

　「トラトラトラ」「真珠湾奇襲攻撃成功」
　この映画を見るまでは真珠湾攻撃は大成功だと思っていたが、映画では太平洋艦隊への大打撃を目的に仕掛けられた攻撃にもかかわらず、情報漏れか空母不在の攻撃で失敗であったと山本五十六は断じている。
　また、ミッドウエー海戦も部下たちの独断専行で失敗。にもかかわらず日本国内では「勝った勝った」の大騒ぎで、山本五十六は軍神化され戦争はどんどん泥沼化していった様子が窺えた。
　太平洋戦争開戦から既に７０年の歳月が経った今、漸く、戦争が何であったのか？真実を知らされたように思える内容であった。
　山本五十六は人間的にも非常に魅力ある立派な人物であった。しかし、山本五十六が命じたことを皆従順に従っていたのではなく、軍律厳しい上意下達の軍隊の中でさえ、出身地や陸軍か海軍か、省か軍かの立場の違いによって、上意に背きそれぞれの立場の利益を優先している状況は、正に今の政治の状況にオーバーラップした。
　これまで山本五十六を美化し、戦争を美化した映画がほとんどであったが、人間山本五十六がアメリカとの戦争を反対し自らの平和主義を主張し、それを実現すべく苦闘しながら、大きな時代のうねりに巻き込まれていく様は、軍神山本五十六ではなく人間山本五十六を見て安心した。
　是非一度長岡で生まれ育った人間山本五十六の映画を皆さんからもご覧いただきたいと思う素晴らしい映画であった