除雪事故と杉波タキ

杉波タキ

 このところの記録的な大雪で除雪車行中の事故が絶えません、特に落下による事故で高齢者の方が命を亡くされる方が多いことには本当に胸が痛みます。
 過疎化高齢化が進む中山間地域の集落では、若者が居ませんので雪下ろしの主力は体の動く高齢者の方になります。昔取った杵柄で、80歳を超えても屋根に上がり、スノーダンプを手に頑張っておられる姿には驚くと同時に大変感服します。
 最近のスノーダンプは、アルミ製になり軽くて扱いやすくなりました。しかし、降り積もって圧縮された雪にはアルミ製のやわらかいスノーダンプでは歯がたたず、重いスチール製のスノーダンプでなければ用が足りません。
 そんな重いスチール製スノーダンプに数十キロの重い雪を載せ、滑る危険性のある屋根の上を歩いて軒下へ落とす訳ですので雪下ろしは重労働であり、ついつい無理をしてしまう可能性も否めません。
 連日の雪下ろし、雪片付けで疲労困憊している体での重労働は、いつ何時落下事故が起きたり、や足腰の怪我を招くことは必至です。
 雪国での雪下ろしはスノーダンプが開発されてこの方30数年、スノーダンプが当たり前となりました。集団で作業する際にスノーダンプを持参してこない方はほとんどおりません。
 一之貝に入って2年目、何十年振りかの雪下ろしで感じるたことは、体力が衰えた高齢者、そして疲労困憊して体調不順分の際のスノーダンプでの雪下ろしは危険極まりないということです。
 スコップに比べれば何倍も効率が良いように思えますが、移動する距離、そして軒に落とした雪の後片付けのことを考えると、スノーダンプに比べ少量ですが、体力的にも適当な量で、投げた雪に引っ張られて落下する危険性はなく、雪下ろし後の後片付けも容易なスコップでの雪下ろしを奨励すべきではないかと思います。
 そんなスコップでの雪下ろしに重宝するのが、杉材と波板タキロン(以下:杉波タキ)で作った滑り台です。これまでは梯子にタキロンを打ちつけて滑り台にしていましたが、梯子自体が重くて扱いにくく、屋根の上まで引き上げるのが一苦労でしたが、この杉波タキは軽く、容易に持ち運び出来、そのまま雪上においても滑らず、直ぐに利用できるところがセールスポイントです。また、一か所に雪を落とすことが可能であり、流雪溝等へは、スコップで細かく砕いた雪を流せば、詰まることなくスムーズに排雪出来ます。
 スノーダンプでの雪下ろしから、スコップと杉波タキを利用した雪下ろしに転換することで、安全で効率的かつ体にもちょっと優しい雪下ろしになるかと思います。