原爆と平和教育

hiroshikaro2008-06-05

 広島市役所を訪問し『平和教育の進め方』について教育委員会の担当者と意見交換をしました。誰もが知っている通り広島は世界初の被爆市です。被爆から63年も経った今、被爆事実を風化させないため、様々な取り組みをされていました。「その取り組みイコール平和教育」の感がありました。
 しかし、小中学生を対象としたアンケート結果では、原爆の事実は頭では理解しているが、平和のための運動に関心があり参加してみたいと回答した小中学生の割合は、残念ながら減少傾向にあるとのことでした。平和教育のあり方について再検討しなければならない時期に来ているように思われます。
 近年は30万人近くの修学旅行生が広島を訪問しているとのことで、その数も減少傾向であるので、もっとしっかり広島を全国・世界にアピールし、より多くの人、子どもたちが広島に来てもらい、原爆の事実を学んでもらいたいとの担当者の熱意も伝わってきました。

 しかし、時と共に記憶が薄れそして忘れ去られ、経験したことのない世代が増えてしまえば、終いに、その事実は風化してしまい、只歴史の事実として「世界初の原爆投下 1945年8月6日」の一行のみが文字で表されることになるのはこれまでの歴史が物語っています。
 これから我々が取り組まなければならない「平和教育」とは、原爆記憶・事実を風化させない取り組みだけではなく、現実、世界各国で行われている戦争、内戦等の事実を正確に報道し、それを把握し、そしてその原因は何であるのか?別の方法で解決することは出来ないのか?ということを考えて行くことこそが、これから肝要であるように思います。
 確かに原爆に関する資料はたくさんあり、それを学ぶことも大切です。しかし、60年以上も昔、自らの祖父母が体験し、その祖父母も少なくなった現在、過去の事実を紐解く教育にはちょっと無理があるように感じました。
私も含め今どれだけの日本人がイラクアフガニスタンそしてアフリカで行われている大量殺人:戦争の事実を知っているでしょうか?
 確かな報道、そしてそのことを自らの問題として考え解決して行く方法を探り出すことが、真の平和教育ではないかと思います。