協同労働の協同組合とは?

「協同労働の協同組合」とは、働く人たちが出資して協同組合をつくり仕事を起こし地域社会に貢献していく。共に出資し、共に働き、そして共に経営する市民が主役の「協同労働」という働き方です。
現在、私は「農業分野における障害者の就労支援」という活動に積極的に取り組んでいますが、昨年暮れ、私の知り合いの個人農家が、知的障害を持つ友人の息子さんを受け入れ、仕事をさせて上げたいということでハローワークを訪ねました。
ハローワークで用意されている支援策:?障害者を一定期間、試用の形で受入、雇用のきっかけをつくるためのもので、事業者:受入側に1ヶ月4万円の支給があるトライアル雇用事業、?障害者が職場に適用出来るよう、ジョブコーチが職場に出向いて事業者と障害者双方に直接支援を行うジョブコーチによる支援事業等利用してみたいと申し出たところ、「これまで雇用保険に加入していましたか?」「最低賃金を支払うことは出来るのですか?」等質問され、結局、今の農家の経営では、その息子さんを受け入れる際に利用出来る筈の、これらハローワークの支援策は一切使えないとのことでした。
これまで家族経営、兼業農家が主体であった一般的な農家は、ほとんど法人化はされておらず、雇用保険など払う術もなく、また「農家ですら最低賃金を貰っていない状況なのに、どのようにして障害を持った人に最低賃金を支払うことができるのか?」と大きな疑問と失意の念を持って帰って来られたとのお話を聞きました。
現在のこれら支援策は、大企業などを対象にしているものが殆どであり、個人経営などが利用出来る制度ではないように思えます。
働きたいという人がいて、受け入れたいという人がいるのに、今の社会の制度ではこれらの希望すら叶えることが出来ない正に憂うるべく現状です。
障害者自立支援法が施行されてこの方、障害者の就労の問題は今大きな岐路に立っています。従来通りの「福祉的就労」に止まるのか?それとも「福祉の枠」を脱却して新しい働き方を切り開くのか?
そして、その新しい働き方が、福祉でも営利企業でもない第3の道:社会的事業所・社会的協同組合への道、つまり協同労働の協同組合の立ち上げです。
農業分野で例えれば、障害者とその家族、農家、そしてそれを応援するボランティアの方々が出資し、協同組合を立ち上げ、仕事をおこし、その協同組合で働く、そして、それに関わる人達が出資と労働に応じた配分を受けることが出来る。そのような新しい働き方、システムがより多くの障害者の就労を促進し、障害者の社会参加に繋がるものと確信しています。
このように、協同労働による協同組合制度は、これまでの利潤追求では解決出来ない社会問題を解決するひとつの有効な手段と成り得ると思います。
この協同労働による協同組合の法制化にはたくさんの人の思いが詰まっています。法制化によって「協同労働による協同組合」に法人格を与え、社会的に認知されることで、公や民間の仕事が協同組合に委託されるようになれば、障害者やお年寄り、女性、農民、非正規労働者たちが「商品」としての労働ではなく、「誇りのある仕事」そして「共に支え合う社会」を取り戻すことが大きく期待されています。 このように経営者と労働者という支配的な雇用関係から、出資・経営・労働とが三位一体となったしなやかな働き方に転換するで、多様な働き方を促し、労働市場を広げることにつながり、更には、景気対策としても非常に有効であり、暮らしや命に関わる社会的セーフテーネットの受け皿にも成り得ます。
全国では500近くの地方自治体が本請願と同様の趣旨の請願を採択しております。また、昨年2月に発足した議員連盟には衆参併せて166人の超党派の国会議員が参加しており、現在の解散総選挙含みの政局で、立法化の見通しは今なお不透明な所はありますが、早期に根拠法の制定を求めたいと思います。