寝た子を起こす

 私の本業である測量の仕事をしていると、しばしば「寝た子を起こす」という場面にぶち当たる。
 当然昔と今の測量技術・精度は違っているので、昔の測量資料は現況に合っていないという状況に遭遇する。
 これまで知らなかったこと、間違っていても余り問題になっていなかったことが判明したので、それを直すため更正化するために調査や測量、そして行政に対しての手続きが必要になる。その経費は誰が負担するのか?
特に土地の面積が違っているということになると用地測量を行うが、それは面積が違っている土地(当該土地)だけを測量する訳にはいかず、隣接する全ての土地の測量をして、初めて当該土地が確定できるのであって、用地測量をすることで隣接地の所有者も利益を得るが、そうだからといって隣接地の所有者から測量調査、そして登記の手続料を負担して貰うことは、現実問題としてなかなか難しいことである。結局はその手続きが必要となる「原因者負担」が原則となり、数十万円から百万円くらいの経費が掛かる。
これまで法律の網をかい潜って乱開発や違法転用が行われた結果、その後始末に全く関係のない人達までが迷惑を被ることがしばしばである。
そういった意味からも地元住民の負担がない市が事業主体となり、国や県などから相当額の補助がある「地籍調査事業」の早期実施が望まれる。
長岡市では数年前に地籍調査班が設置されたが、今もなお地震後の後始末に追われ、本題の「地籍調査事業」になかなか着手できないのが現状である。
言い換えれば「地籍事業は、寝た子を起こす事業」となるが、土地の変遷、歴史を知っている人が時間の経過と共にどんどん少なくなる現状において、1日も早い本格実施が必要であるのだが?その必要性を感じている人は、残念ながら殆ど居ない!!