徹底した「エコ」

チコリの収穫

 3月にドイツでの1年間の農業実習を終えて帰国した国際農業者交流協会の農業研修生の青柳さんからレポートが届きましたので一部を抜粋掲載させてもらいました。
持続可能な農業をめざして ? 青柳 美土里
 私がドイツで感じたことの一つは石油製品・資材の使用が少ないということです。化成肥料はもちろんのこと例えば、日本で使用されているビニールマルチも配属先農家では布マルチを使い、それを4〜5年使います。キュウリ栽培などで使用するキュウリネットもここでは木材と針金で作ったものを何年も使います。野菜苗はほとんどが他の会社から購入していましたが、その苗もプラグポット・ポリポットやペーパーポットではなくソイルブロックでした。新しく建設中の温室の暖房は灯油やガスではなくソーラーパワーと木材を圧縮したパレット(安価)を利用します。また、日本のスーパーの野菜はほとんどのものがプラスチック袋やパックに入れて出荷しますが、ここでは袋やパックをあまり使用せずにケースにそのまま野菜をいれて出荷・販売していました。他にもまだ例はありますが、限りある石油資源を大切にし、どうやって環境に付加をかけずに(より安価に)代替物に移行するか?ということを真剣に考えていました。日本では〈有機農家=無農薬・無化学肥料=環境にやさしい・持続可能な農業〉というようなイメージがあります。しかし、これからの有機農家は無農薬・無化学肥料栽培ということにとらわれず、他にも眼を向けるべき点がたくさんあることに気づきました。


【私の所感】
 ドイツはこのように生産分野から消費分野に至るまで、徹底したエコに取り組んでいると思います。
自動車や家電製品など高級品のエコ対策が中心の日本とは大きな違いだと思います。エコバックを推奨し、石油製品のレジ袋を使わないようにと言いながら、100円ショップへ行けばプラスチックの製品で溢れております。
 また、先週は東京電力柏崎・刈羽原発が再稼働しました。「石油依存体制から脱皮し原発へシフトするのがCO2削減に繋がるのだ」との政府・業界の掛け声ですが、これまで原発が2年近くも停止していても、東京電力の需要地域である東京はじめ関東では、原発停止という電力供給体制に問題があっても、夜煌々と瞬くネオンを見れば、一体この電力は何で賄われているのか?ということなど全く頓着していないのが都市住民・日本国民であるように思えます。
 結局は「エコ」に対しての日本人の取り組み、考え方は第一に「ソントク:損得」そして第2に「カッコヨサ:格好良さ」ではないかと思います。
 ドイツのように次世代の将来の生活環境のことを第一に考えた「徹底したエコ」に取り組まなければいけないと考えさせて貰ったレポートでした。