日本の河川行政の遅れ

稲葉川放水路

 先日N町内の会長と農家組合長に同行し長岡地域振興局に河川改修のお願いに行って来ました。
 私の住む栖吉地区は山麓の町内もあることから新潟県が管理する1級河川が4本も流れています。
 一番大きな川は、栖吉川、そして猿橋川、稲葉川、城下川と続きます。それぞれ当地区にある山を水源地にとしており、栖吉川、猿橋川は信濃川の支川、稲葉川、城下川は猿橋川の支川となっています。
 今回お願したのは護岸改修です。上流部分は平場の下流部分に比べ河川の勾配もきつく、曲がりくねっており、そして川幅も狭いため至る所で護岸が崩れています。上流部は住宅の数も平場の下流部に比べ少ないですので、住宅の洪水や浸水被害もそう多くありませんが、農地の被害は米を作る農家にとっては大きな問題となっています。

 しかし、昨今の経済状況そして政治の混迷により、上流部分の改修は「金がないから今のところは対応できない」ということが現状の様です。
 現在の河川行政はというと、当然経済的な損害の大きな所から対応していくのが順序ですので平場の下流部分から改修して行くのが当たり前になっています。しかし、人間の病気に例えると下流部分は病気に罹った患部(部分)、そして上流部分は病気を起こす病原(原因)部分ですので、両方を一緒に治療しなければ完治することはありません。つまり、日本の河川行政は対処療法であり、何れまた直さなかればならないことを前提に下流部分を改修(治療)をしているのが現状です。

 金がないから病原の治療を放っておくような河川行政では、只予算を水に流しているような気がしてなりません。しかし、一般世論やマスコミの論調は「人の少ない・居ない場所の川を直したり、ダムを造ったりすることは公共事業の無駄遣であり、自然破壊に繋がる!」と言い、上流部の改修については全く否定的です。担当者も「河川事業推進は道路事業の推進に比げ非常に難しい!」と嘆いていました。
 河川行政だけではなく、現在の行政、特に土木行政は「被害がなければ予算が付かない。被害が出ると待ってましたとばかり、大きな予算が時限的につき、急げ急げで工事が進み、地元との調整もままならない内に、要らない橋や道路そして治水施設が出来てしまい、そしてその管理は結局地元に押しつけらる?」のが現状です。地元も役所の担当者もこれらの対応に頭を抱えています。
 政治が変わらなければいつまでたってもこの問題は解決しないなと思いながら振興局を後にしました。