雲泥の差

国道12号線

 全国5番目の大都市札幌市は間もなく人口190万人になろうとしている。一方、札幌から車で1時間も行かない近隣市町村は過疎化、高齢化の波に飲み込まれ、5年、10年のまちづくり計画が大きく外れてしまい、多くの負債を背負いながらの自治体経営で四苦八苦の様子である。本当に「何故?」と言いたくなる程の大きな格差を目の当たりにした。
 近隣町村では学校が統廃合され、高校の学区も広域化されたので小さな町村に住む高校生は、列車で1時間以上も掛けて通学しているとのこと。私が乗り込んだ列車は丁度期末テストを終えた高校生で満席であった。ローカル線なので無人駅がほとんどでワンマンカーが走っている。

 駅に到着すると何名かが降りる。駅の前には親が車で迎えに来ている。話を聞けば自宅は駅から8kmも離れているとのことで、雪が無い時は自転車で駅まで来ているとのことだが、降雪期は自転車で通うことはもままならず、自動車での送迎でなければ通学できない。6時過ぎに家を出、そして帰宅は夜の8時過ぎが日常とのことで、お母さんは子どもの弁当を作るため5時には起きているとのことであった。
 一方観光都市札幌には多くの外国人観光客、特に台湾、韓国、中国から大勢押し掛けて来て、お土産店を占領しているあり様には驚かされる。一番人気は「白い恋人」のようで、皆箱がたくさん入った『白い恋人』の紙袋をぶら下げていた。

 タクシーの運転手さんによれば、札幌も不景気とのことだが、長岡に比べれば当然のことだが人も多く、活気もある。そして周辺の町村に比べれば別世界、まさに雲泥の差である。
 過疎化、高齢化の町村には仕事も少なく、更にそれらの傾向に拍車を掛けている。
町はずれの交差点におばあちゃんが2人、寒い風に吹かれ立って居た。巡回無料バスを待っているとのことであったが、なんだか切ない思いが込み上げてきた。また、「早く暖かい春が来ないかな〜」と待ち遠しく感じる情景でもあった。