農業は日本文化の象徴だ!

栃尾荷頃の風景

 いつ頃から農業は産業となったのだろうか?きっと戦国時代が終わり、江戸時代に入り、江戸や大坂等という大都市が形成され、商業や工業という産業が起きてからでないかと思う。
 「農業は文化だ!」英語では、農業をアグリ+カルチャー「Agri+Culture」と訳し、園芸は「Horti+Culture」、農・園芸は両方ともカルチャー、文化である。
 自論であるが「文化は滅びす永遠であるが、文明はいつかは滅び去る。四大河文明がいい例である。」つまり「文化・農業・緑を大切にしない国は、いずれ滅び去ってしまう。」
 千数百年もの長きに亘り、独立して成り立ってきた国は珍しい。それは、日本人が弥生の頃から農耕を始め、延々とこれまで農業を営み、一所に永住し、先祖代々の農地を守って来たからこそ、実現できたことであると思う。
 農業の舞台となった農村は、正に文化の宝庫であり、誰もが安心して暮らせる場所であった。しかし、戦後、農業が他産業である工業や商業の生産効率と比べられるようになってからは、効率の悪い農業は、どんどん廃れてしまい、それに伴い農村から人が出て行き、残されたものは年寄りばかりとなり、それまで延々と育まれてきた農村文化も風前の灯、崩壊寸前である。

 14年前、スイスの農業指導員が言った言葉が今思い出される。
「スイスが農業を大切にしているのは、何故か?ヘル家老 知っているか?」と聞かれ
「国土を保全し、緑豊にしていることで、世界各国から沢山の観光客を呼び込むため」と答えたら「違う」
「スイスは永世中立国であるので、一定規模の食糧自給率を保たなければ、国家の安全保障が保てないから」と答えても「違う」
「では一体何故?」と聞くと
「農業は文化だ、その文化を守ることが国を守ることに繋がるのだ!」
「農業を守ること、即ち、農業を営む人材を育てる事、『農業とう文化』の後継者絶やしてはいけないから、農業を支援しているのだ!」
「後継者がいなくなれば農業はお終いだ!」
「後継者が育つよう、他産業との格差を是正し、他産業よりも魅力的な職業として、国としてしっかり支援していくことは当然のことである。」
 さて、日本の農政はどうであろ?
 農業後継者の教育を放棄してしまったような国が、本日TPP対策として、農業を産業的に成り立たせるために、規模拡大や機械化をより推進する。他産業との所得格差を是正するために所得補償をすることはナンセンスであると思う。
「日本の文化の象徴:日本農業を守る人材を育成するために農業を守り支援する。」という考えで政策形成していかなければ、近い内に日本農業は消滅し、終いには日本は何処かの国に占領されるか?四大河文明の様にコンクリートの瓦礫の下にうずもれてしまうのではないかと心配している。